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トランシーバーの周波数・チャンネル・出力を解説!無線機の選び方

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トランシーバーはサービス業を中心に、多くの業界でスタッフ間の業務連絡ツールとして使われています。一昔前と比べると価格も大分落ち着いてきたため、これから新規で導入を検討している企業も多いのではないでしょうか。 トランシーバを含む無線機各種を業務用として導入を計画する際は、多くの担当者が「どんなトランシーバーを選べばいいのか分からない」と悩んでいるようですが、無線機はニッチな業界となるので仕方ありません。 そこで、ここではトランシーバーを選ぶ上で理解しておく必要がある「周波数・チャンネル・出力」を詳しく解説します。

トランシーバー・無線機で使われる「周波数」とは

トランシーバー 男性2名

トランシーバーなど無線機の機能や性能を調べると、必ず記載があるのが「周波数」です。周波数とは上下に波打つ電波の通り道のようなもので、周波数が1秒間に波打つ回数を「Hz(ヘルツ)で表し、個人・企業が利用できるトランシーバー・無線機各種はMHz(メガヘルツ)帯を使用します。

トランシーバー各種の周波数一覧

企業を含む一般人が使うことができるトランシーバーは、主に「特定小電力トランシーバー」、「要免許業務用簡易無線(アナログ/デジタル)」、「デジタル簡易無線(登録局)」、「IP無線機」、「トランシーバーアプリ(スマホインカム)」が挙げられます。

特小の周波数帯(特定小電力トランシーバー)

特小こと特定小電力トランシーバーは特定小電力無線局が管轄する無線機の異種で400MHz帯の周波数帯を利用します。

特小の周波数は組み合わせにより ①421MHz帯及び440MHz帯、422MHz帯を使用するもの ②413MHz帯及び454MHz帯を使用するもの

に分類されます。 周波数は特定小電力トランシーバーの機能性や通信方式によって割り当てる帯域が異なりますので見ていきましょう。

単信方式

単信方式は1:Nのやりとりをいい、いわゆる一般的なトランシーバーで行われる交互の会話を指します。 ビジネス用として使われる単信方式の特小では、 422.05~422.175MHzを11チャンネルに割り当てて使用されることが大半です。またレジャーとしても用いられる機器では一般的に422.2~422.3MHzを9チャンネルに割り当てて使用します。

複信方式/半複信方式

特定小電力無線局の無線機には同時に通話できるものも存在します。 同時通話の機能が搭載されている特小は特定同時通話小電力トランシーバーなどと呼ばれ、一般的に 421.575帯~421.7875MHz帯と440.025~440.2375MHz帯を18チャネルに割り振って利用します。 レジャー用に相当する周波数帯は421.8125帯~421.9125MHz帯、440.2625帯~440.3625MHz帯となっており、いずれかを9チャンネルに割り振って利用します。

単信方式と複信方式が両方使えるトランシーバー

特定小電力無線には利用できる周波数が多いものも存在します。これは単信方式と複信方式が両方使えるトランシーバーに該当します。業務用としてもレジャー用としても優秀で希少かつ高価なタイプとなっています。 上記で紹介した通り ・単身方式で用いられるチャンネル数は9チャンネルと11チャンネルの計20チャンネル ・複信方式・半複信方式は18チャンネルと9チャンネルの計27チャンネル に周波数を組み合わせて利用するということでした。 つまり一方向でも話せて同時通話もできるトランシーバーの場合、最大で単信方式の計20チャンネルと複信方式の計27チャンネルの計47チャンネルが使えるのです。

特定小電力トランシーバーをマルっと解説!使えなくなる可能性についても言及

業務用簡易無線の周波数帯

トランシーバー

デジタル簡易無線(登録局)

登録局が所管するデジタル簡易無線機は351.2/351.16875(上空)MHz帯〜351.38125MHz帯を30チャンネルに割り振り通信を行います。※上空利用できる周波数は前から5チャンネル

デジタル簡易無線(免許局)

デジタルUHF簡易無線・・・65チャンネルに467.0MHz帯〜467.4MHz帯が割り振られます。 デジタルVHF簡易無線・・・28チャンネルに154.44375MHz〜154.6125MHz帯が割り振られます。

要免許業務用簡易無線(アナログ)

アナログ業務用簡易無線には極超短波UHFと超短波であるVHFの2種類があり、それぞれ使用する周波数は異なります。 アナログUHF業務用簡易無線・・・465.0375MHz帯〜468.85MHz帯の周波数を35チャンネルに割り当てる ※デジタルUHF簡易無線の65チャンネルが併せて利用できる無線機(デュアル機)もあります。 アナログ小エリア無線・・・348.5625MHz帯~348.8MHz帯の周波数を20チャンネルに割り当てる アナログVHF業務用簡易無線・・・154.45MHz帯〜154.61MHz帯の周波数を9チャンネルに割り当てる ※アナログVHFとデジタルVHFの計37チャンネルを使用できる無線機もあります。

アナログ無線(400MHz帯及び350MHz帯)は2024年11月30日以降、使用禁止に

デジタル簡易無線(登録局)

登録局が所管するデジタル簡易無線機は351.2/351.16875(上空)MHz帯〜351.38125MHz帯を30チャンネルに割り振り通信を行います。※上空利用できる周波数は前から5チャンネル

デジタル簡易無線(免許局)

デジタルUHF簡易無線・・・65チャンネルに467.0MHz帯〜467.4MHz帯が割り振られます。 デジタルVHF簡易無線・・・28チャンネルに154.44375MHz〜154.6125MHz帯が割り振られます。

要免許業務用簡易無線(アナログ)

アナログ業務用簡易無線には極超短波UHFと超短波であるVHFの2種類があり、下記の通りそれぞれ使用する周波数は異なります。

  • ・アナログUHF業務用簡易無線・・・465.0375MHz帯〜468.85MHz帯の周波数を35チャンネルに割り当てる(※デジタルUHF簡易無線の65チャンネルが併せて利用できる無線機またはデュアル機もあります。)
  • ・アナログ小エリア無線・・・348.5625MHz帯~348.8MHz帯の周波数を20チャンネルに割り当てる
  • ・アナログVHF業務用簡易無線・・・154.45MHz帯〜154.61MHz帯の周波数を9チャンネルに割り当てる(※アナログVHFとデジタルVHFの計37チャンネルを使用できる無線機もあります。)
アナログ無線(400MHz帯及び350MHz帯)は2024年11月30日以降、使用禁止に

アナログUHF業務用簡易無線400MHz帯とアナログ小エリア無線350MHz帯は総務省が制定した電波法改正により令和6年12月1日以降は利用が禁止されています。 デュアル方式の無線機を利用されている場合は利用者が間違ってアナログ信号を発してしまう事がないよう注意しましょう。 電波法の処罰の対象となりますので現在ご利用中の方は早期の買い替えをご検討ください。

IP無線機・トランシーバーアプリ

2000年以降に台頭した「IP無線機」とスマホのアプリを使った「トランシーバーアプリ」は、携帯電話の電話回線を使ったデータ通信となります。Wi-Fiや3G/4Gといったインターネットプロトコル(IP)を使うため、全国通信が可能な他、デジタル方式となるため秘匿性も高いのが特徴です。IP無線アプリとは?機能や特徴、無線機との違いを解説

トランシーバー・無線機のチャンネル数と周波数の関係

トランシーバー イメージ

トランシーバー・無線機では、送信者と受信者が同じ周波数であることを条件に音声通信が可能となります。しかし、レシーバーや昔のラジオのように、手動で周波数を見つけるのは非常に手間と時間がかかります。そのため、トランシーバーでは「チャンネル」に周波数を割り当てることで、スムーズな通信を可能としています。

トランシーバー各種のチャンネル数

・特定小電力トランシーバー:9chもしくは9ch+11ch ・業務用アナログ簡易無線:35ch ・業務用デジタル簡易無線(免許):65ch ・業務用デジタル簡易無線(登録局):30ch

IP無線機とトランシーバーアプリはチャンネル数は特に固定されておらず、数百以上のチャンネルを作成することができます。

特定小電力トランシーバーを他社同士で使う場合の注意点

トランシーバー業界で有名なメーカーとして「アイコム・ケンウッド・モトローラ・スタンダード・アルインコ」が挙げられますが、いずれも多種類に及ぶ特定小電力トランシーバーを販売しています。 特定小電力トランシーバーはメーカーが異なっても周波数帯は変わりませんので、すべての機種において互換性があります。ただし、メーカーによって周波数の配列が異なる場合があり、例えばアイコムの12chは、モトローラであれば同じ12chで互換性を持たすことができますが、アルインコやケンウッドでは1chが同じ周波数帯となります。 特定小電力トランシーバーを使っていて、「チャンネルを同じにしても音声が通じない」と言う場合は、上記のように周波数の割り当てチャンネルが異なっている可能性があるので、1つずつチャンネルを変えて通信ができるか確かめてみるといいでしょう。トランシーバーの傍受と混信について。安全なデジタル無線機を紹介

トランシーバーを使用する際に混信してしまったときの対応

トランシーバーを使用する際は、暗黙の了解で「チャンネルは早い者勝ち」となります。既に使われているチャンネルに割り込むようなことはしないようにしてください。 また、トランシーバーを使用中に混信した場合は、「ノイズが入ってるから5チャンネルに変えて」のように速やかにチャンネルを変更することで回避することができます。ただし、大規模なイベントや世界大会、国際会議の類では、あらかじめ周波数の割り当てが決まっているため、自由にチャンネルを変更できないこともざらにあります。

トランシーバー・無線機の「出力」とは

無線機 装着イメージ

トランシーバーの通信距離は出力に依存します。特定小電力トランシーバーは10mw、業務用簡易無線機は1wと4w、5wが通常となります。 特定小電力トランシーバーは免許不要の代わりに10mwと非常に出力が弱く、通信距離も100~300m程度が限界です。ユーザーの業界は飲食店やカラオケ店が主となります。 一方で免許・登録局の業務用簡易無線機は1~3km程度が通信範囲となります。あらゆる業界で使われていますが、建物の構造や周辺環境によっては1kmも飛ばないこともありますので、導入前には必ずロケテストをしなければなりません。

デジタル簡易無線の出力1wと5wの違い

デジタル簡易無線は出力を1wと5Wに切り替えることができます。ただし、「1wで届かない距離だから5wを使おう」という期待はあまりできなく、1wでも届かない場所は5wでも届かないのが常となります。ただし、1wだとノイズ混じりで通信ができる範囲を5wにすることで、ノイズのないクリアな音声で通信ができることはあります。 基本的にデジタル簡易無線の1wと5wの大きな違いはバッテリーの消費量となりますので、1wで賄える通信距離であれば、バッテリーを長持ちさせるために5wは使わないようにする、といった使い道が現実的となります。アナログ無線機とデジタル無線機のメリット&デメリットを全て解説

トランシーバーの違法電波による電波法違法とは

日本では電波関連の法律は電波法によって定められており、管轄は総務省となります。上述したように、特定小電力トランシーバーも業務用簡易無線機も出力・周波数帯ともに総務省によって決められています。例えばネット通販や電気屋ではアメリカから輸入した特定小電力トランシーバーもよく販売されています。しかし、アメリカのトランシーバーはアメリカの電波法で決められた出力と周波数で電波を送受信するため、日本国内で使用すると電波法違反となります。もちろん日本のトランシーバーを海外に持ち込んで使用すると、海外現地の電波法違反となります。

トランシーバー・無線機の選び方

パソコン 検索イメージ

トランシーバーの周波数・チャンネル・出力を理解すれば、自社が導入すべき無線機の種類がぼんやりと見えてくることでしょう。しかし、「業務用簡易無線機を使いたいけどデジタルとアナログどちらがいいのか迷う」、「特小は何を基準に選べばいいのか分からない」といった悩みもあります。

免許ありと免許不要のトランシーバーはどちらを選ぶべき?

まず、免許及び登録が必要の業務用簡易無線機か、免許不要の特定小電力トランシーバーかを選ぶ際は、単純に自社が望む通信範囲を網羅できるか否かで決めるといいでしょう。ワンフロアや、通信したい相手の姿が見えている場合は、特定小電力トランシーバーで賄える可能性が高いです。販売店に問い合わせれば、特定小電力トランシーバーと業務用簡易無線機の双方をロケテストすることもできます。トランシーバーの種類や活用シーンを解説

特定小電力トランシーバーの選び方

特定小電力トランシーバーはメーカー各種で豊富なラインナップを揃えていますが、機種によって「小型・高い防水性能・業務用のボディを使用・安い・中継器対応」といった違いがあります。出力は同じなので論理的に通信距離は変わりません。ラフな使い方をするようならば、堅牢性の高いものを選ぶのがおすすめです。免許不要!無線機を無免許で利用する条件とおすすめの無線機とは

デジタル機とアナログ機のトランシーバーの選び方

トランシーバーはデジタル機とアナログ機がありますが、デジタル機は音声を暗号に変えて送信するため、アナログと異なり高い秘匿性を確保することができます。また、ホワイトノイズも発生しないため、混信が起こりやすい場所でも重宝します。 業務用簡易無線におけるアナログ機は2024年11月末日をもって終了となるため、遠距離通信を希望する場合は、要免許あるいは登録局のデジタル簡易無線、もしくはIP無線、インカムを介したトランシーバーアプリを選ぶことになります。

トランシーバーの周波数・チャンネル・出力を学んで正しい無線機の選定を

相談 無線機

トランシーバーは単なるスタッフ間の連絡手段ではなく、危機管理対策や人件費の削減、スタッフマネジメント、顧客満足度の向上といった役割を担ってくれます。 ただし、トランシーバーの選び方を間違えてしまうと、余計にランニングコストがかかってしまったり、通信障害が度々発生して使い物にならない事態も想定されます。そうならないためにも、まずはここでご紹介したトランシーバーの周波数とチャンネル、出力の基本を身につけた上で、販売店に相談をしてみてはいかがでしょうか。業務用簡易無線とトランシーバーアプリ「BONX WORK」という選択肢

 

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