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簡易無線のデジタル化。アナログ機は2024年が期限

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業務用簡易無線機のデジタル化に伴い、現在利用しているアナログ機は2024年11月30日をもって終了します。現在アナログ機を運用している企業や、これからスタッフ間の通信手段として無線通信機器の導入を検討している担当者は、今回の簡易無線機のデジタル化によって、どのような影響を受けるのでしょうか。
ここでは簡易無線機のデジタル化の概要と、アナログ機の比較。今後企業が検討すべき無線通信機器について詳しくご紹介します。

簡易無線機とは?無線機の主な種類を解説

業務用簡易無線

簡易無線機とは「業務用簡易無線機」の略称で、団体・企業であれば誰もが扱うことができる無線機です。

無線機には主に下記の種類があります。

・防災無線
・一般業務用無線
・業務用簡易無線
・特定小電力(トランシーバー)無線
・IP無線

上記の中で一般企業が購入できる無線機は、業務用簡易無線機と特定小電力無線機、IP無線機の3種となります。

その中でも今回焦点を当てて解説する業務用簡易無線機は、1W機、4W機、5W機の高出力を有した無線通信機器となり、周波数帯は「UHF/アナログ465MHz帯/468MHz帯」、「UHF/デジタル467MHz帯」、「VHF/アナログ/デジタル154MHz帯」と割り当てられています。
簡易無線機にはUHF帯とVHF帯の2種に大別することができますが、現在一般企業が取得できるのはUHF帯のみとなり、VHF帯は消防無線や山間部での使用、海運業等、少し特殊な業態でしか使用しません。
→業務用無線機とは?特徴から分かるメリット・デメリットや注意点まとめ

デジタル無線機って何?

トランシーバーイメージ

簡易無線機を含め、従来の無線機・トランシーバーはアナログ方式による電波を送信します。しかし、2008年に総務省よりデジタル化の推進が告知され、翌2009年にはデジタル化に伴う「登録局※後述に説明」に対応したデジタル無線機、及びアナログとデジタル双方の電波送受信ができるデュアル式無線機が販売開始されました。

2024年11月30日が期限。アナログ無線機は使用できなくなる

アナログ無線機イメージ

世界各国には電波法と呼ばれる電波を規制する法律が定められており、日本では総務省が担当しています。そして、この度総務省通達により、正式にアナログ無線機の廃止が決定となりました。当初の使用期限は2022年11月30日でしたが、新型コロナによる社会経済の低迷と影響を鑑みて、2024年11月30日に延長されました※2022年7月時点。
今回の総務省の決定により、簡易無線周波数帯350MHz/400MHz帯のアナログ周波数の使用が禁止となります。ただし、現時点では国が同周波数自体を停波するわけではないため、現在アナログの簡易無線機を所有している団体・企業は、販売店に停波の依頼をすることになります。また、デジタルとアナログ兼用のデュアル機に関しては、アナログチャンネルを停止する必要があるため、こちらも販売店に依頼しなければなりません。

2024年12月1日以降もアナログ無線機を使い続けると、電波法違反となるので注意が必要です。
→アナログ無線機が2024年12月1日で廃止に!使用期限前にやるべき対処法

簡易無線機のデジタル化が進む理由とアナログ無線機が終了するわけ

電波は目には見えませんが、実は有限のものとされ、テレビ、ラジオ、簡易無線、消防無線、タクシー無線、鉄道無線など、あらゆる電波を国が管理・割り当てを行っています。しかし、昨今のデジタル化の波を受け、煩雑になった電波の周波数帯を一度整頓する必要が出てきました。
周波数は上下に波を打つように流れていますが、アナログ電波は周波数帯幅が大きいため、近い将来周波数帯がすべて埋まってしまう恐れもあります。また、似たような周波数帯の無線が近くを走っていると、混信することも懸念されます。
一方でデジタル化された簡易無線は、デジタル信号に音声が変換されて電波に乗るため秘匿性が高く、また周波数帯幅が狭いため、周波数帯域に余裕がでます。
→総務省「電波利用ホームページ」

今後の課題とデジタル簡易無線への切り替えが進まない理由

簡易無線機におけるデジタル化の切り替え推奨は2008年に既に開始していましたが、2022年時点において、アナログ無線局は全国で152万局が残っているとされています。
簡易無線機のデジタル化が捗らない理由の1つに、「アナログ無線とデジタル無線では周波数帯が異なるため互換性がない」ことが挙げられます。警備業やイベント設営、舞台照明、ブライダル、ホテルといった、いわゆる“簡易無線機のヘビーユーザー”となる業界は、1社で数十台から100台を超える簡易無線機を保有しています。
そのため、互換性のないデジタル簡易無線機に買い替える場合は、企業によっては多額の予算取りが必要となります。しかし、簡易無線機は一般的に会社の備品項目として扱われるため、買い替えとなると、それだけで年度内の経費の枠を超えてしまいます。そのため、買い替えの踏ん切りがつかず、今に至るまでアナログ簡易無線機を使い続けてしまっている、という背景があります。

簡易無線機のデジタル機とアナログ機の特徴比較

トランシーバーを使用する男性

2024年11月30日をもってアナログ機は終了し、翌12月1日より簡易無線はデジタル化へと移行しますが、現在アナログ機を使用している企業はどのような影響を受けるのでしょうか。

簡易無線機のデジタル機とアナログ機の「出力」の特徴

アナログの簡易無線機は1W・4W・5Wの3つの出力が主流となりますが、デジタル機は1Wと5Wが主となり、また1Wと5Wの出力切り替えができる機種が多く出回っています。
一般的には1Wはあまり使い勝手がよくないとされていますが、簡易無線機のデジタル化に伴い、登録するだけで気軽に使うことができるようになったため、小規模の飲食店や雑貨店、スーパー等において、特定小電力トランシーバーでは微妙に届かないところを1Wの出力で補うことが期待されます(5Wで使うとバッテリーの消耗が激しい)。
→小売業界にトランシーバーは必要?

簡易無線機のデジタル機とアナログ機の「通信」の特徴

デジタル簡易無線機とアナログ機では、「電波の送受信・交信」に大きな違いが生じます。アナログ機では、ノイズ混じりでも何とか音声が聞こえる場面が多々ありましたが、デジタル簡易無線機では、ノイズが一切入らない代わりに、音声まで遮断されることがあります。良くも悪くも「聞こえるか聞こえないか」の2択となります。
また、「デジタル機とアナログ機の電波はどちらがよく飛ぶのか」という質問もよく見受けられますが、出力が同じ以上、論理的な通信距離は同じとなります。ただし、無線機メーカーによって端末の内部構造やスピーカーの質が異なるため、「モトローラ―のデジタル機の方が通信距離が長く感じる」、「ケンウッドのデジタル機が一番音声がクリア」といった体感的に思うことはよくあります。

簡易無線機のデジタル機とアナログ機の「秘匿性」の特徴

音声をそのまま周波数に乗せて電波で送信するアナログ機と異なり、デジタル簡易無線は「0」と「1」のデジタル方式に音声を変換するため、秘匿性が高くなります。
さらに、デジタル簡易無線機を出荷する際は、「ユーザーコード」と「秘話モード」を設定します。前者は3桁、後者は5桁の数値からなり、第三者が傍受するためには、デジタル信号の解析に加え、2つのコードを合致させなければなりません。国際サミットで警備員やSPが使用するほど秘匿性は高いということができます。
→トランシーバーには傍受のリスクが!秘話モードのススメ

デジタル化に伴う簡易無線機の免許局と登録局

無線機イメージ

2008年以前は業務用簡易無線を購入する際は、免許の申請と取得が必須でした。しかし、デジタル簡易無線機に対する登録局の出現により、個人・団体・法人問わず、誰もが「登録」をするだけで無線機を所有することができるようになりました。
しかし、簡易無線のデジタル化により免許制度が廃止されたわけではなく、「免許局」と「登録局」に区別されるようになりました。

デジタル簡易無線の免許局と登録局の違い

簡易無線の免許局と登録局で覚えておきたい違いは、「チャンネル数」と「キャリアセンス」です。免許局のチャンネル数は65chに対して、登録局は30chと半分以下です。ただし、大規模イベントであっても30グループも分けることはほぼありませんので、それほど気にする必要はありません。
キャリアセンスとは登録局のみに付与されている機能となります。辺りで別の登録局の簡易無線の電波が飛んでいる場合、混信を防ぐためキャリアセンスが働き、音声の送信が一時的にできなくなります。通常の使用環境でキャリアセンスが作動することは滅多にありませんが、展示会やイベント設営時のような、多数の業者が狭い区画で簡易無線を使用する際に発生することがあります。

販売店からレンタルする場合は登録局がおすすめ

デジタル簡易無線を緊急用として常備するだけであれば、免許局でも問題はありません。ただし、事業者の中には「10台は購入して、大きなイベントがあるときは販売店から不足分をレンタルする」というケースもよくあります。そのような状況が想定される場合は、必ず「登録局」を選択してください。
無線機販売店が保有しているレンタル向けのデジタル簡易無線は、すべて登録局となります。免許局の無線機を他社に貸し出すのは違法となるためです。もし免許局のデジタル簡易無線機をレンタルしたい場合は、販売店の所有している無線機を一時的にお客様の免許局に変更する必要があり、手間と費用が余計にかかってしまうので現実的ではありません。

デジタル簡易無線機の登録局申請方法。手続きと流れ

デジタル無線の「登録局」は免許は不要となりますが、書類による手続きは必要となります。購入者にとっては免許局も登録局も手続きの流れや手間自体は実は変わりません。基本的な手続きの流れは下記となります。

1.販売店から委任状のフォーマットをもらう。
2.販売店に委任状を渡し、申請代行を依頼する。
3.販売店が陸上無線協会に申請する。
4.陸上無線協会が総務省に申請し、「登録局は登録状」、「免許局は免許状」を発行してもらう。
5.陸上無線協会が販売店に登録状/免許状を渡す。
6.販売店がお客様に登録状/免許状を送付。
※陸上無線協会は総務省の出先機関。

留意点は「免許及び登録局の有効期限は5年間」となることです。免許の更新を忘れてしまい、その後も使い続けてしまうと電波法違反の恐れがあるほか、新たに取得する際は更新ではなく新設となるため、費用も若干割高となります。

自社の業務に最適な通信手段を選ぶ

スーツ男性 会議イメージ

今回は簡易無線のデジタル化に伴う一連の流れや、アナログ機との違いをご紹介しました。デジタル簡易無線機は、

「デジタル方式のため秘匿性が高い」
「1体複数のやりとりが可能」
「クリアな音声で通信ができる」
といった特徴があります。

しかしながら、近年はITの急速な発展により、上記の特徴を持つ無線通信機器は、簡易無線の他にも流通するようになりました。
その1つが「IP無線機」です。Wi-Fiや3G/4G(LTE)といった新たな無線通信システムにより、ネットを介して通信ができるようになりました。近年は一部山間部を除き、全国どこでもネットが通じるようになりましたので、IP無線機を用いれば、デジタル簡易無線機の「通信距離に制限がある」、「建物の内部や壁越しだと電波が通らない」といった課題の大部分を解決することができます。
→IP無線機の選び方を徹底解説!通話料もデータ通信も削減しよう

IP無線機がさらに進化。スマホインカム

近年全国の無線機販売店では、特定小電力無線・簡易無線・IP無線の3者と並び、「スマホインカム(Bluetoothインカム)」を取り扱うところも増えてきました。日頃使い慣れたスマホに専用アプリをインストールするだけで、デジタル方式による1対複数のグループ通話が可能となるため、簡易無線を使い慣れていない業界をはじめ、「簡易無線は重たい」、「見た目でお客様に緊張感を与えてしまう」、「簡易無線でも届かない」といった問題を抱えている業種にもおすすめです。
無線機の販売店の中には、八重洲無線時代の「昔ながらの商売」をしている業者も多く、業務のDX化が叫ばれているにも関わらず、次世代のニーズに対応した製品を取り扱っていないところも少なくありません。
販売店を選ぶ際は、簡易無線機・トランシーバー以外の無線通信機器を積極的に扱っているところに相談してみると、思いがけないユーティリティ製品を提案してくれるかもしれませんよ。
→IP無線機の料金やトランシーバーのレンタル&販売価格を比較